市川きよあき事務所

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グラフィックデザイン

演劇

おわるお芝居、はじまるお芝居

事務所にはB2サイズのでっかいカレンダー(毎月1枚)があって、その下に現在進行形の演劇チラシをぶら下げて貼ってあります。芝居が終わったらチラシをはずし、新しいものをズリズリと前へ移します。寂しい作業です。劇場をただの箱にするバラシほどの寂しさはないんですが、わずかながらでも関わって来た自分の仕事が見えなくなり、お芝居はやはり刹那なものだと感じます。今月は20日に志ん輔師匠の落語、23日に仲代さんの「授業」、24日にカトケンさんの「八月のラブソング」が幕を降ろし、チラシも役目を終えます。
もちろん、はじまる舞台もあります。23日からはじまるのはテアトル・エコーSIDE B公演の「我が家の楽園」。
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SIDE Bとは本公演と区別しているわけですが、B面も豪華になってきてましてもはやA面と境目がないくらいの完成度。B面のメジャーも十二分にありえます。さて、このお芝居、もともとは戯曲なんですが、1938年に映画になってます。ヒッチコックの「裏窓」や「めまい」なんかでおなじみのジェームズ・スチュワートが初めての主演で出てるんですが、観た時若すぎてしばらくわかりませんでした。ジェームズ・スチュワートって生涯悪役を演じたことがないんだそうです。ちょっと面白いですね。以前恐れ多くも奈良岡さんに「どんな役がやりたいですか?」ってお聞きしたことがあるんですが、ひと言低い声で「ワル」っておっしゃっられビビった事を思いだしました。なんでそんな事聞いてしまったのか…後悔先に立たず。でも仲代さんもよく悪役の魅力を話されてるし、役者って悪役の持つ強いコンプレックスに惹かれるような気がします。映画はとっても面白いです。戦争中にこんなのとってるんじゃ勝てませんわって感じ。監督は「或る夜の出来事」「素晴らしき哉、人生!」のフランク・キャプラ。「素晴らしき哉、人生!」はぜひ観てほしい映画。いい映画ない?って言われたらまずオススメする1本です。
で、戻って戻ってエコーの「我が家の楽園」。恵比寿に来て50年になるそうですが、恵比寿に根ざしたコメディを小さくも確かな劇場でどうぞご覧ください。あと
主演はこれまた80オーバーの沖恂一郎さん。熊倉さんや納谷さんと一緒にやられてた、ほぼ最初っからのメンバーですね。沖さんも大好きな俳優さんです。沖さん未見の方もぜひ!

その後なんですが、4月公演のがなくて5月にある公演が3本、その先のでいま現在チラシが出来て貼ってあるのがもう2本あります。あたりまえの事ですが、実際のお芝居がはじまる前からチラシは動きはじめ、終わってしまえば一緒におわり。これからもお芝居とズレないようコロバヌようマチガエナイようにやっていきたいです。

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