市川きよあき事務所

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グラフィックデザイン

デザイン

文字の魅力に怖れおののく

テアトル・エコーの沖洵一郎さんを中心としたチームの公演『幽霊やしき』のチラシを作りました。そのチラシの打ち合わせの時のこと。このチームのチラシにはいつも同じイラストレーターに頼んでいます。今回も当然イラストのつもりでそのイラストレーターにスケジュール確認して待ってました。打合せが始まると企画したT子さんがすまなそうに言うんです。
「今回イラストじゃなくしたいんです」
「写真ですか?」
「いえ…それが…沖さんが文字でいきたいと言ってるんです」
「……文字って?…それはタイトルってことですか」
「いえ…中身というか内容というか…」
「…キャッチコピーですか」
「そうですそうです…キャッチコピーをドーンと」
「……例えば…どんな言葉なんですかねぇ」
「もう決めちゃってて…。」
「どんな?」
え〜「この世もあの世も大好きさ」…………です。……ですって。

芝居のタイトルは『幽霊やしき』
あまりの変化球に時間が止まりました。
こ の 世 も あ の 世 も 大 好 き さ
言葉がグルグルします。

仕上がり創造図を思い描くのと、それがいいのか大丈夫なのかを飲み込むのに時間がかかりました。長い長い沈黙……そして哲学的な何かが降りてきました。いい!面白い!スケールがでかい!でかすぎる 大好きさって…敵無しだ…「いいんじゃないですかね」ほっとされた様子。

タイトルがあり、内容に近いビジュアルがあり、作家、演出家、出演者の名前があり、日程があり、場所がある。この既成概念をぶち壊す、キャッチドーン案。ビックリしましたが、こういうとらわれないアイデアを忘れてました。やられました。で、どうせなら沖さんに書いてもらいましょうよ ということになり書いていただいたのがコレ

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30~40個書いてもらったかも。ありがとうございました。
日時も場所も出演者もな〜んも書いてない。必要なことは裏にまとめた表紙。
文字に魅力があれば怖いものなしです。沖さんの字いいですね。
出来上がったチラシは大好きな佐野繁次郎の世界に似てました。

その佐野繁次郎の作品少し、婦人画報もすごくいいですね。
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