市川きよあき事務所

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演劇

チェーホフのジタバタを観に行こう

チェーホフが亡くなって百十年が経ちます。チェーホフを二十歳で読んだ時は、何が面白いのかまったくわからなかったんですが、年をとればとるほど噛めば噛むほど面白くなります。何が面白いのかってあらためて考えると、ジタバタなんです。人は三十過ぎ四十過ぎて、自分のできる事できない事がだんだんわかってきますが、なぜかすんなり認めたくないのでジタバタします。チェーホフに出てくる人物も同じなんです。そこには充たされて幸せな人は一人もいなくて、誰もがジタバタしています。
若い頃はジタバタすることがないんで面白さがわからなかったんですね。
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そのチェーホフの秀作、華のん企画の「三人姉妹」が再演します。こういう噛めばの類の話は、出演者の演技も噛めば噛むほど味わいが出るので再演もすごく楽しみです。2年前の初演の打ち上げで、すぐ出演者から再演したいという声が上がったようです。今の日常にもジタバタすることなんて溢れているのに、チェーホフにはどこか底知れぬ魅力があるようです。山崎清介さんが描く「三人姉妹」は、出演者が常に舞台上にいるという張りつめた空間。面白く斬新で刺激的です。
華のん企画 「三人姉妹」
場所:東池袋 あうるすぽっと
10月24日(木)19:00 、25日(金)14:00、 26日(土)16:00、27日(日)14:00
http://www.canonkikaku.com/information/chekhov.html

チェーホフシリーズはパンフレットのイメージを統一しています。
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具体的には同じ布の上に作品に合う小物を置いてその都度撮影。撮影する布の場所は変えてるので柄が違っています。(今回と短編集1+2は再演なので色調を変えただけです。)「三人姉妹」は女性っぽいイメージにしたかったのでちょっとクラシックなブローチにしました。さすがに百年とはいかず、五十年くらい前のものです。ネットなんかでもいいものがなく都内色々まわって西荻窪で見つけました。
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「三人姉妹」の中に、百年後、二百年後の世界を想像する場面があります。チェーホフは覗き見サイズの巷の世界から、一気に百年後の人に想いを馳せ、俯瞰から見ることでジタバタをスケールアップさせています。
いまはチェーホフの時代から百年経ちましたが人はあまり変わってないように思えます。さらに百年後はどうなんでしょう。人は不変なのか、普遍なのか、やはりどうにもならなくてジタバタするのか。
ぜひご覧ください。