市川きよあき事務所

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演劇

幌車を追っかけて能登へ その1

無名塾公演『肝っ玉おっ母と子供たち』のゲネと初日を観に、陸路で能登演劇堂へ。まず、東京から金沢までは新幹線かがやき。東京駅で祭という駅弁広場で大船軒の鳥めしとお茶を買い、旅のお供は幸田文さんのエッセイ「雀の手帖」。車中で読むのは、こういう短くて洒脱なモノに限ります。しばらくすると自分のまわりを会社関係っぽいの一群がワサワサと囲みました。私服だけどくだけた感じはないので社員旅行ではないと推測。運よく隣に地味で静かな美人が座った。どういうところにお勤めの方だろうか?役所かな?会社だとしても地道なお仕事でしょう。横目でチラチラ見るのはやらしいけど美人の動きは気にはなります。とりあえず幸田さんの雀は背もたれに挟まりました。
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一群は長野で降り、こちらも雀に戻り三つ四つ進めると金沢に着き、サンダーバードに乗り換えました。サンダーバード15号はかなりのロートル。このサンダーバードじゃ平和は守れないでしょうが、平和な田園地帯をひた走るのには向いてます。こんどのお隣は通路を挟んでリッチそうなじいさんと上品なムスメさん。胸元に矢印の万年筆がささってる。仲良し親子の温泉旅行なのかな?と思ってたら、どうも会話が…お互いが敬語…他人行儀です。もしや…そんなどうでもいい事を考えていたらアッちゅう間に和倉温泉駅に着きました。そこから線路の上を走るバスのような一両電車の七尾線に乗り換えて10分、ようやく目的地の能登中島駅。駅から能登演劇堂まではバスがなく、20分歩くかタクシーしかない。こんな不便な劇場はないかも。でもこの辺鄙な場所の劇場をひと月満員にするところに意義があります。タクシー乗り場はないのでタクシーを呼びました。
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車がくる間に能登中島駅の構内を見学。さながら無名塾ポスター展のようです。仕事が終わるとなにかと悔やむタチなので、こういう集中砲火はいたたまれない…恥ずかしさと反省をくぐり抜け、ようやく来たタクシーに乗り込み、幌車が待つ演劇堂に向かいました。ゲネまで1時間を切りましたが、飛行機だと早く着きすぎて居場所に困るのでこのくらいが丁度いいです。演劇堂前で肝っ玉の大看板がお出迎え、次々に登場するポスターをカシャカシャ撮りながら劇場に入りました…つづく
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