市川きよあき事務所

市川きよあき事務所

グラフィックデザイン

デザイン

アートなのにFBにブロックされる

九品仏で降りてすぐ左手に間口一間の小さな古本屋があります。目の前の浄真寺はご老人たちの絶好のスケッチ場所となっていて、晴れた日には広い境内のあちこちにイーゼルが見え隠れします。そんな日は古本屋の店先にスケッチ集や絵画の手ほどき本が当たり前のようにズラッと並ぶのです。やさ男風のイケメン店主は一見引き蘢りに見えますがけっこうぬけめないんです。
「またぁ…じいさんばあさん引っ掛けようとしてるな〜」
「いやいやいや…」
時間に余裕がある時は、汚部屋一歩手前の混沌とした店内をひやかし、店主と取り留めない話をします。持ち込みもけっこうあり、先日も近所のおばあさんの持ち込みに遭遇しました。紙袋にいっぱい古本入れて持ってきてましたが、こりゃ売れないだろうというものばかり。どうするのかなと思っていたら、最近はねぇ〜とかなんとか言って謝りながら小銭を何枚か渡してます。
「赤字じゃないの?」「市場に持っていけばいくらかは…」
やさ男はやさしい男でもあるけど、地元に愛されて楽しそうな感じです…大儲けはできないかな。
本はけっこう入れ替わっていて、月一くらいにのぞくと面白いものがあったりします。
「何か面白いものある?」聞くと、こちらの好みや仕事をわかっているから、ガサゴソしながら「イッピー ガール イッピーがありますよ。」と一冊取り出しました。名前は全く知らなかったけど…
ん…表紙の写真は見た事があるぞ…
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「鰐淵晴子さんじゃない?」「誰だかはわからないけど…昔は入るとすぐ売れて高かったんですよ」
パラパラパラ
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写真集の価値はファーストコンタクトで決まると言っても過言ではない。…いい…すんごくいい。どこがファーストコンタクトかわからないけど…いい。奥付を見る。昭和45年、1970年。なんといまから47年前。これを今やれるのか?さらに印刷でも挑戦しています。何枚ものトレペにヌード画像を刷って重なった効果を計算している。
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またまた各章のテーマが秀逸。鰐淵さんのヌード写真集かと思ったら全く違う、これぞアート。やりたいことを一番きれいな人をモデルにしてやりつくしてます。大切なのはテーマとメッセージ、それからセンスと技術。やられました。撮影はタッド・若松さん。
「買うわ」「そうですかぁ」店主はいつものひやかしかと思ってたら というような顔をしてる。ちょっと値切って連れて帰りました。
じっくり見る、スゴイ。おそらくちゃんとしたデザイナーやアーチストはとっくに知っていている本なんでしょう。でも、いいものはいつ知ろうといい。得意げにFBにアップしたら、いいね!がひとつもつかない。よくないの?でもオレはいい!と開きなおってふんぞり返ってたら、どうもFBにヌード画像扱いでブロックされてたらしい。アートなんだよ。わかっちゃないなぁ。