市川きよあき事務所

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グラフィックデザイン

日記

やったモノは見に行きます

基本的にはデザインしたものは見に行き、その都度猛省しております。装丁したらば本屋に行き、ポスターやったらば貼られているのを見に行きます。もちろんチラシを作った芝居も極力観ます。写真は三茶de大道芸のフラッグ。このロゴは9年くらい前に作りました。街中がこの黄色いフラッグとポスターでいっぱいで、ウレシ、ハズカシ、クスグッタクなります。見に行かないと周囲とのバランスがわからないのです。以外と小さかったり、逆に出しゃばりすぎていたり、別のツールがあった方がいいと感じたり、現場に行けば必ず色んな発見があります。
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お芝居も観に行く時、芝居の出来上がりに対して、自分たちの作った制作物はこれで良かったのかといつも心配になります。それがプロローグとして間違ってなかったとしても、芝居の中の出来上がってきた人物と撮影時の人物の温度差は必ず出ます。なるべく差がないようにと願うばかりなのです。たとえば無名塾の場合、稽古が始まる何ヶ月も前に撮影をします。今回の場合はゴッホに扮した仲代さんの撮影。かなりゴッホを意識して、作り物っぽくならないように万全を期してやりました。ですが、あたり前のことですが舞台写真と比べると残念ながら負けています。それが役者が登場人物になりきったという事なのでしょう。
仲代さんはポスター撮影終了時には必ず
「ポスターだけが良かったって言われるな」とおっしゃいます。
ですが、思いっきり裏切られます。この裏切りは気持ちの良い裏切りです。ポスター撮影時にけっこうゴッホになってたなぁと思ってたのが、まだゴくらいだったんだと思わされるのです。芝居の面白さを再認識させてくれる事でもあります。ゴッホになりきるための7㎏の減量と2〜3カ月の猛稽古にかなうわけがありません。稽古をしてキャスト、スタッフ全員の前へ進む努力が人物を作り上げるのです。なので芝居作りの前に終わった自分の仕事を見ると、ちょっと取り残された気にもなります。じゃあ、例えば再演ものがあって、前の舞台写真を使いましょう と言われるとそれはそれでちょっとヤなんです。いいに決まってるからですし、自分の仕事を助けてもらった気もしちゃいます。デザイナーも偏屈ですね。
あとどーでもいい事ですが今回の「炎の人」は負けられない相手もありました。去年、色んな演劇賞を取った市村さんゴッホの「炎の人」。強敵です、来年、そちらも再演がありますし、なんと言っても塾出身の益岡さんがゴーガン。演出も栗山さんと鵜山さんという演劇界を代表する演出家が、がっぷり四つ。市村ゴッホは、他のキャストも名の知れた俳優さんが多いのに対して、無名塾は塾生、塾員だけ。意識するなと言われても意識しました。毎日、そちらのきれいでステキなチラシとパンフレットを机の端に置き悶々と考えました。こういう時に一番に考えるのは、チラシでもパンフレットでも、デザイン性ではなく、作品ならではのお客さんへの伝わり方です。伝わりやすいか?ならではになっているか? その部分ではそこそこいけたかと自分では思っているんですけどね…。
芝居の出来については、贔屓目ではなく無名塾は負けてはいませんでした。むしろ作品の力が無名塾の方にあったように感じました。今プロデュース公演ばかりですが、劇団(集団)としての力っていうのがやっぱりあるなっと思います。仲代ゴッホの集中力すさまじいですし。鵜山さんの演出もリアルで面白いです。市村ゴッホを観られた方にもぜひ観劇してほしい作品です。
写真は能登演劇堂。ゲネプロ後、舞台上に初日用に道具をセットしているところ、美術はキャンバスです。
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またまた関係ないことですが、事務所で夏から育てていたアサガオが今週になってやっと咲きました。ここ何日かあきらめて水もやらなかったのにけなげです。ベランダの中なので道行く人の目を和ませることはできませんでしたが、なに事もあきらめちゃダメですね。
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