恵比寿の事務所から歩いてすぐ、ほんとに1分の所に公園がある。公園に向かう角を曲がるとピンクのタコが腕をにょろにょろのばしていて腕の中を子どもたちが遊んでいる。通称タコ公園だ。恵比寿に住んでたり仕事している人なら誰でも知っているタコ公園。ガーデンプレイスや恵比寿像とまではいかないが、ちっちゃなランドマークであることには間違いない。メーデーの時なんか、「集合タコ公園」なんて張り紙がしてあったりする。当然子どもに大人気。登ったりすべったりもぐったりしていて、子どもたちの基地になっていた。
その公園の前を昼間通ったら、毎日必ず目入っていたタコの姿が見えない。タコが瓦礫になっていたのだ。なんだかとても切ない気持ちになった。リニューアルの為の工事らしいが、こんな壊し方でいいのか腹が立ってくる。昭和33年の開園当時からシンボルだったタコ。実に50年以上、僕が生まれる前からここにいたわけだ。
よくロケをやってた。よくお花見をやってた。よくいろんな人がお弁当食べてた。本当に壊さなければならなかったのか。新しいタコが出来るようだが壊したものはもう戻らない。へんなキャラクタータコになるような気がしてならない。昭和の匂いも消えるだろう。ピカピカしてれば喜ぶだろう的な傲慢さがまたここにも見える。もしどうしても壊さなければならないとしたら、ちゃんと告知をしてお別れの猶予期間をとるべきではなかったのか。子どもじみてるかもしれないが、文化はこういう所から滅び、確実につまらなくなっていく。