ニュースでdrone(無人偵察機)という言葉を見た時、ドロンしますがすぐ浮かびました。英語でも無人。日本語でも消えちゃう事。言葉は不思議です。雄バチやハチの飛ぶ音もdroneだそうです。ハチの飛ぶ羽音はドロンドロンとは聞こえないなぁ。やっぱりハチはブンブン。さて「このへんでドロンします」、これは7年くらい前に企画出版した本のタイトルです。
内容は「このへんでドロンします」に代表されるユル〜い死語フレーズをバカバカしくまとめたもの。死語ってのがイヤなので、へっぽこフレーズとしました。へっぽこフレーズをイラストと解説文で紹介するくだらなくって空いた時間にすぐ読めちゃう本です。
イラストはバカドリルなど脱力くだらな系の王様タナカカツキさんにお願いしました。
ラフな線がいいですね。 タナカカツキさんはいまもその道で大活躍です。(最新作のサ道とはサウナ道のこと)
へっぽこフレーズとは、「俺、ひょっとしておじゃま虫?」「おまえの母ちゃんデベソ!」「美容室でパーマあててきちゃった」「だってもあさってもない」「さよ、おなら」「ウチのワイフの手料理、どうです」「あの娘にほの字だろ」「俺、ひょっとしておじゃま虫?」「おととい来やがれ」「あっ社会の窓があいてる〜」
などなど…いまの30代後半〜50代前半にはこたえられない懐かしいユルいフレーズのことです。いまの20代はなんのことやらだし、60才以上は日常会話なんで面白さがわからないでしょう。「シミーズ」「えもんかけ」「バンド」「帳面」などのへっぽこ単語も載ってます。
こういうゆる〜い言葉ってまだまだどんどん使うべきですね。例えば電車の中でうっかり居眠りしちゃったおじさんの、チャックがうっかり全開だった時、近くに女子中学生が群れてでもしたら大変です。「しんじられな〜い」「キモ〜イ」といった罵声が容赦なくオジサンの薄くなでつけた頭に降りかかっちゃうことでしょう。電車内が変態、痴漢出現で大パニックです。
こんな時誰かが「社会の窓があいてますよ」と軽く一言かけてあげれば、中学生のカワイイ「クスクス」ですんじゃいます。「社会の窓」なら誰でも躊躇なく声に出せるでしょう。おじさんもうっかりミスで済み、そのテレ笑いで逆に電車内の緊張がほぐれ明るくなります。なるかもしれません。…たぶん…おそらく。
ミスといえば、この本が出版された時、ラジオの声がかかって「吉田照美のやる気マンマン」の新刊本紹介のコーナーに出た時のこと。ここでうっかりというか大ミスをしたんです。自分の出演時間になって吉田さんと小俣さんのいるスタジオに入った時、調子にのって「おじゃま虫しま〜す」といって入ってしまいました。あっちゃ〜。スタジオが−5°下がりました。ああいう情報もののラジオって秒刻みなんで台本にない事やるとダメなんです。毎日本紹介してるから今日の本を細かく読んでる暇なんかない。それから20分…長かったなぁ。
いま改めて読み返すと、やはり愉快で愛すべきへっぽこフレーズの数々ですが、へっぽことして笑える言葉だったのが、ただ懐かしいだけの言葉に変わっているものが多くありました。実際にへっぽこフレーズを使ってた時代が遠い過去になってしまったせいでしょう。自分たちの世代が、下から笑われる、ネタにされるフレーズを持っているのかな?へっぽこフレーズが豊富だった世代がうらやましくもあります。