市川きよあき事務所

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日記

高校1年の時に観た「ひこうき雲」

久々に映画を観に行きました。映画はつまらなかったんですが、始まる前の予告編で流れた曲が、不味い後味を忘れさせたばかりか、いまも頭の中でぐるぐるしてます。
荒井由実「ひこうき雲」

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初めて「ひこうき雲」を聴いた時は生でした。生なのにユーミンを知らなかったんです。高校1年の秋、当時で言う、ポップス通というか、かなりのユーミン好きの友達がうわずった声でオレのことを誘いました。なんでも近くにある大学の学園祭に荒井由実がくるというんです。
「行こうよ」「大学だろ…大丈夫?」「一般人も入れるから大丈夫だって」
誘われてもよく知らないんであんまし興味もなかったんですが、大学の学園祭、という言葉の響きにクラっとして「あ〜荒井由実ふ〜ん、いいじゃん行く行く」と知ったかぶりの背伸びして承諾。そのあとユーミンを知ってるヤツ、知らないヤツ、女子大生に憧れのあるヤツ、いろいろ誘って6、7人になりました。こちとら男子校なんで全員男子。授業の後なんで全員学ラン、ダサダサですわ。着くとあまりの華やぎに浮き足立ちました。浮いてたかも。そしてなんだか男子高校生の若気が至りに至って気が大きくなり最前列を陣取っちゃったんです。ユーミンよんだ大学生にとってはいい迷惑です。
その日は本当は石川セリさんと二人のコンサートだったんですが、セリさんが風邪で来られなくなり急遽ユーミン一人。石川セリさんの方は知ってたので始まる前はちょっとガッカリでした。
しばらくして「セリさんの分まで頑張ります!」という初々しいユーミンが登場して「ルージュの伝言」でスタート。

釘付けでした…良すぎて。とってもおニューなミュージックにやられました。途中ユーミンも最前列のおかしな学ラン高校生集団に気づきます。
「君たち大学生?」「高校生です」「なんでいるの?」な〜んていう会話があったり握手してもらったりなんだり…。
中でもクラックラにやられたのが「ひこうき雲」。帰りにはすっかりユーミン教崇拝者で、次の日には「ひこうき雲」のLPを買ってました。二つ折りで中にユーミンの大学時代の写真なんかが入ってました。
1年後、すっかりユーミン通の顔してコンサートに行った時の事です。2階席で観てたんですが、コンサートの途中でヤクザ風の男たちがドカドカドカっと数人乱入してきたんです。
「ヤメロヤメロ!」「オメーラうるせえんだよ」「キャ〜!」
「なんだお前らジャマするな」ヤクザと気骨あるバンドのメンバーと、つかみあい、もみあい。会場騒然。怒号が飛び交い、「やめてぇ〜」「やめてぇ〜」心配する悲鳴もあちこちから出ます。
どうなるんだいったい…と心配してたらだんだん暗くなって、一人消え二人消え、静かになって…気がつくとヤクザのリーダー風の男が一人残りピアノの前でユーミンと1対1。「えっナニナニ?」って観客全員思ったところで、ヤクザのピアノでユーミンが「ベルベットイースター」
ピアノがうますぎるヤクザは結婚する前の松任谷さんでした。

それから何年か何年かして聴かなくなり、またCDで買い直し聴いた時期があり、さらに何年か何年か忘れていたのに、思いがけず映画館で流れて高校1年の秋に引き戻されました。最後の かけーて は何度聴いてもドキドキします。…空を観よう、雲を観よう。