朝、池に氷が張っているのを見るのはなんとなく楽しい。初氷の時はなおさらです。昨日まで池に垂れて、水面の波紋を描いていた葉っぱが、氷に包みこまれて凍っています。葉っぱの形に立体になった部分が、テカテカカリカリしていて美味しそう。こんな和菓子もあったな、そもそも砂糖の固めた部分が好きなんです。シナモンパンを買う時も、なるべく砂糖のダラリ部分の多いものを選んでしまいます。横道にそれましたが、はじめて池に張った氷を発見するのは、初雪が降ってきたのワクワク感を100とすると、30くらいはあるかもしれない。雪国の人からすればずいぶん呑気な話だけど…
今日は暖かく、溶けた水面に眩しく太陽の光があたってキラキラしています。近寄れば、勘違いしたメダカが数匹泳いでいるのが覗けるかもしれません。
さて、コロナコロナで新年明けました。あまり仕事もなく暇なのですが、氷の下のメダカのように膨大な時間を無駄に過ごしています。本くらい読めばいいのですが、2021年になって読んだ本は井伏鱒二くらい。「山椒魚」とその元になった「幽閉」の入った短編集を読みました。なぜ井伏鱒二かというと、昨年末無名塾で太宰治の「人間失格」をやってまして、太宰治が井伏鱒二に師事していたからです。あの太宰治が強く惹かれた井伏鱒二の作品とはどんなモノだったのか、そこに興味がわきました。それで読んだのですが、とても面白かったかったです。リアルな描写の中にファンタジーな部分もあり、太宰が惹かれたのはそんな部分かなと勝手に想像。「山椒魚」ははじめてな気がしなかったので、高校生くらいの頃に読んだのかも。もしかしたら国語の試験問題でチョロっと出てたのかもしれません。よくある既視感です。そこから試験で出た小説の前後が読みたくなって、図書館で探して読んだりもしました。問題を間違えても達成感あります。で感想かんですが、「山椒魚」と「幽閉」だと「幽閉」の方が好みでした。山椒魚狙いすぎな感じがして…そしてなんと井伏鱒二は「幽閉」の着想をチェーホフの「賭け」から得ているそうです。
「賭け」という作品は、15年幽閉生活に耐え、部屋から出なかったら一生遊んで暮らせる大金をやろう という賭けをするお芝居です。10年くらい前に華のん企画の制作で公演されたものに関わっていて、何度か観ましたがとても面白かったです。自分だったら何日の幽閉に耐えられるでしょうか?一冬なんて全く無理。家から全く出ないなら頑張ってもせいぜい1週間でしょう。仮にもし、2週間全世界の人が幽閉生活に我慢したらコロナとの賭けに勝てるのでしょうか?それとも山椒魚のように閉じ込められてしまうのか…。