市川きよあき事務所

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グラフィックデザイン

日記

淡島さんが拾ったバレーボール

淡島千景さんがあちらへ行かれました。ちょっと前ですが、仲代さんの役者生活60周年の企画をやるのに、仲代さんが出演した昔の映画の写真をとことん探していました。その中の共演者との写真に「ちょっとこれ誰?」って思わず手をとめて周りに声かけちゃうくらいのバツがグングンの美女の写真を見つけました。それが淡島千景さんです。ハンパない美女光線放ってました。宝塚の大スターで、扇千景さんも淡路恵子さんも彼女のファンだったために字をいただいたそうです。凄いですね、さらに手塚治虫も大ファンで、リボンの騎士のサファイアは彼女がモデルだそうです。どこかけれん味と品のある女優でした。最近の作品だと「大停電の夜に」の過去のある奥さん役、「春との旅」のお姉ちゃん役もよかったなぁ。
でも、今回淡島さんについて書きたかったのは女優の話ではありません。ずっと前に波瀾万丈系の番組で知った、彼女が個人で持っていた社会人バレーボールチームのことです。個人でですよ。
遡ること48年前の1964年、今上映中の「三丁目の夕日 64」でもとりあげている東京オリンピックが、この年開催され日本中が湧きに湧きました。中でも回転レシーブで有名な東洋の魔女、女子バレーボールチームは激闘の末金メダルを勝ち取り、日本中が湧いた頂点にいました。
当時、淡島さんは新聞社の依頼でバレーボールチームの観戦記を書いてたそうです。それが金メダルとっちゃって、それはもう大喜び。うれしいもんだから祝賀会で、つい選手達に家に遊びにいらっしゃいと声をかけちゃったそうです。選手は選手で大スターにそんな事言われたもんだから、大喜びして大挙しておしかけちゃった。そして、そのままなんでだか何人かが合宿することになったそうです。
昔のスターは違いますね。バレーを離れてみると、選手たちはバレーばっかりしてたんでどこにも行ったことがない。バレー漬けで遊びを知らなかったんで色んな事経験したくなったんでしょう。そこで大きなポケットをお持ちの淡島さんが色々連れてったり、京都見物させたりしたそうです。しかしおかしなもので、遊んでいるとまた、バレーの虫というヤツがむくむく出て来ちゃう。今度は国体に出たことがないので出たいと言い出す。みんな若い頃からナショナルチームに入ってるんで国体なんか出たことがなかったんでしょうね。ワガママといえばワガママ。でも淡島さんにとっちゃあそんなワガママ屁でもない。じゃあ出てみようという事になった。国体に出るにはチームをつくらなくちゃ出られないんで、淡島さん個人がオーナー、マネージャーで「富士クラブ」というチームを作っちゃった。すごいもんです、昔のスター。ポケットの大きさが違いますよ。国体って県の代表なんだから東京のチームで予選からやったんでしょうかねぇ。ちょっとそこんとこ忘れましたが、もともとメンバー全員東洋の魔女、少し遊んでブランクあったって世界の金メダルなんで国体なんてお茶のこサラサラ。あれよあれよと勝ち進み優勝しちゃった。国体優勝チームのオーナーが個人なんて、なんてカッコいい事。自分のチームが優勝するって楽しかっただろうなぁ。
淡島さんに合掌、いやトス!