市川きよあき事務所

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グラフィックデザイン

日記

芭蕉と小さいおうち─その2

しばらくして「小さいおうち」を観たんですが、小さくないじゃん が第一印象。あれが小さいなら大きいおうちは岩崎邸か!と思いましたね。それで問題の間取りですが「小さいおうち」の1階は
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こんな感じです。こういう家の特徴は和洋折衷。昭和20〜30年代に流行った文化住宅に近いです。関西では文化住宅というと集合住宅のことを指しますが、東京では日本家屋の中に洋風の応接間を取り入れた家を文化住宅と呼びます。玄関入ってすぐ左側の洋間が応接間。俊定先生の家もそう、お会いする時はいつも出窓の付いたこの応接間でした。比較すると、応接間は先生の家のほうが少し狭いんですが、それ以外は台所の位置も奥の続き部屋もほぼ同じ。叔父さんが本を読んでいて同じと思ったことも頷けます。文化住宅は平屋が一般的だったので、二階のついた「小さいおうち」や「中村俊定家」は少し上等なタイプかもしれません。トトロのサツキとメイの家もそうですね。洋間への憧れと日本家屋のすごしやすさが合体した理想的な昭和の住宅とも言えます。今ではめっきり少なくなりましたが、杉並や世田谷を歩いているとたま〜に見かけます。
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横浜には小さいおうちサイズから中くらいのおうちのちょっと豪華なものも残っていて、これは洋館付き住宅と呼び、「よこはま洋館付き住宅を考える会」という市民団体が保存活動をしています。横浜なんで洋間がもう少しあるのかもしれません。
俊定先生の家は先生が亡くなり奥さんも亡くなられた後に、老朽化でやむを得ず建て替えられましたが、都内にあるものはなるべく残してほしいです。
「ものすっごい小さいおうち」でもいいので文化住宅のような家に住むのが夢なんですが…枯れ野をかけめぐるばかりかも。