市川きよあき事務所

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グラフィックデザイン

日記

30年でズレていく世の中

世の中の移り変わりを見ると30年くらいでズリッズリッとスライドして過去へずれていく気がして残念でならない。建物やお店などを例にとると顕著だ。街の中に30年以上続いているお店はとても少ない。仮にお店が残っていても外観や雰囲気、また味などが変わっていく。昨日もがっかりした。
新宿に来ると必ず行っていた生スバゲッティの店がある。20年以上前からあると思う。若い頃は新宿で食べるとこなんて知らないしお金もないのでよく行った。紀伊國屋でお芝居見る時は必ずだ。安いし早いしそれなりに旨かった。なによりライブ感があった。コックはものすごい注文をものすごい早さでさばいていた。そんなのを見るのも楽しかった。
粉チーズとコーヒーシュガーの入れ物がちょっと似てるのでお客さんがよく間違えてた。もちろんワレワレ慣れ親しんだものは間違えるわけもなく、コーヒーにチーズを入れて「あ~っ」のなんて言って慌ててるのをニヤニヤ眺めるだけだ。
昨日久しぶりに行くと昔から食べていた海の幸というメニューがなかった。メニューの数も売りだったのにすごく少なくなっていた。近そうなモノを頼んだのだが味が今ひとつだった。おまけにライブ感もない。ここ何年かで少しずつイタめし屋風な内装になってそこもがっかりだったのに味までもが…。こんな風にしぼんでいくのならいっそ違う店にしてほしい。
無くなってがっかりした店というと渋谷のうどん屋「ちた屋」がある。数年前まで渋谷のハンズ横にあった。今はコンビニになっている。ワタクシのふるさとは愛知県の東三河。東京でふるさとの味を味わえる数少ない店だった。店主が東三河の人だったこともあり、ここの味噌煮込みはワタクシには完璧だった。名古屋のモノとはちょっと違うのだ。渋谷に来る度に20年以上通ったが味の変化は全くなかった。「あ~今日も裏切らない。美味しい」といつも思った。女主人が店舗を増やすと私の眼が行き届かなくなっちゃうと言っていたのを思い出す。結局チェーン店ではダメなのだ。
思えば「ちた屋」では味噌煮込みうどん以外は食べなかった。九段下の方に息子さんだかやってる店があるといってた気がするがまだあるのだろうか?
なぜ、店が変わり、無くなり、ズレていくのか。やはりそれは人なのだ。
人が活躍できる時間が30年~40年。それを過ぎるとよほど伝承していくのがうまくかないとズレていく。
実は自分もズレていっているのだが、古いものや確かなものが好きなので頑張ってしがみつきたい。
昔がよかった、は昔の人の感傷ではなくよかったに違いないからなのだ。