市川きよあき事務所

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演劇

スゴかった俳優座養成所

ちょっと前のことですが、恵比寿駅の西口を交番の方に出て、駒沢通りの横断道路を渡った所に古本屋がありました。なんとな~く取っ付きにくい古本屋でした。いつも窓に筆で書いた標語みたいなのが2階3階に渡ってダラリ~ンとかかっていて、退店される時も、ここを去るけど魂は死なず、みたいな文字が書かれていたと記憶しています。いまもどこかでやられているんでしょうか、ダラリ~ンは続けていらっしゃるのでしょうか、頑張っていただきたいです。その古本屋の店先のワゴンセールで買ったのがコレ。信号待ちしててつい目に止まりました。

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面白いです。俳優座養成所の歴史がつまっています。養成所は1949年~1967年までの18年間しかありませんでした。もう42年も前に姿を消しています。ただ今活躍する60歳以上の俳優のほとんどが俳優座養成所出身者といっても過言ではないでしょう。
例えば15期なんて凄いです。林隆三さん、原田芳雄さん、前田吟さん、夏八木勲さん、地井武男さん、村井国夫さん、秋野太作さん、浜畑賢吉さん、小野武彦さん、高橋長英さん、栗原小巻さん、赤座美代子さん、三田和代さん、 ひとつの期だけでそうそうたるメンバーです。劇作家の齋藤憐さんもこの期です。
ほかの期も書ききれないくらいの凄いメンバーでして、仲代さんは4期で宇津井健さんや佐藤慶さんなんかと一緒。3期には愛川欽也さん、渡辺美佐子さん、平さんは5期、市原悦子さんは6期、田中邦衛さんは井川比佐志さんなんかと一緒で7期です。
田中邦衛さんは三度目の挑戦でやっと受かったんです。二度目の受験で落ちた後、故郷に帰って小学校の代用教員をやってたんですが、あきらめきれず教員を辞めて執念の合格。教官に「三度受けたのも才能だ」と言われたそうです。面白いですね。
こんな養成所の裏話がたんまり入っていて、熱かった新劇の歴史を知ることができる貴重な一冊。信号待ち用のワゴンよありがとう!
今やっている『安楽兵舎』も5期メンバーですし、2月にやった『ワーニャ伯父さん』にも3期の楠木さんが出られていましたし、演劇の仕事していると必ずといっていいほど俳優座養成所出身の方に会います。
それから俳優座の建物は昔は六本木のランドマークだったんです。
「東京タワーの方じゃなくって、俳優座の方ねぇ」なんていって待ち合わせもしたんですが、今はヒルズとミッドタウンがあるからなぁ。