市川きよあき事務所

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グラフィックデザイン

デザイン

ジャパン・アヴァンギャルド

演劇のポスターをこよなく愛している笹目さんという人がいます。彼が主宰するポスターハリスカンパニーはその名の通り、あらゆる所にポスターを貼るのがお仕事で演劇関係者はお世話になっています。怪しげな酒場をポスターで埋め尽くし、より怪しげにしてます。ポスターのコレクションも膨大です。
そのポスターハリスが所蔵するポスターの中から極めてアヴァンギャルドな作品を厳選した個展、1960年代~70年代のアングラ演劇の傑作ポスター展を観てきました。
天井桟敷や状況劇場、黒テントに自由劇場。アングラ演劇が過激でパワーがあり、熱かった頃はポスターもまたアヴァンギャルドでした。横尾忠則さんはじめ宇野亜喜良さんや平野甲賀さんら当時の気鋭の才気あふれるデザイナーが手掛けた作品が100点。圧倒されます。

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これらのポスタ1枚1枚がアートです。シルクで刷られてるものも沢山あるので、刷られた枚数は多くて100くらいしかないんじゃないでしょうか。
こうやって現存するものを数多く見られるのもポスターハリスのおかげです。
これらのポスターを数多く手掛けてらっしゃるデザイナーの及部さんが会場にいらしてて紹介していただき、貴重なお話を聞くことができました。
アナログ時代の不便さや手間暇かかることのの素晴らしさ。
結局デジタルは、アナログの求心力やパワーには太刀打ちできません。
それから自分もそうなんですが、今のポスターは空間やバランスを意識したものばっかりで、文字なんかは小さい方がカッコいいと考えがちです。
いうなれば削っていくデザインが主流でその方が楽なんです。
足していくデザインにはオリジナリティが必要でして、そこが難しい。
アングラ演劇ポスターの中に入っている広告を見るとわかります。
それを含めてアートになってて決してジャマになってない。
その頃は公演を応援するクライアント側もうるさくなかったんでしょう。今は演劇を助成するのに、助成側が応援してることを主張して、でかいマークを押しつけるおかしな時代です。

会場のパルコにはこれまた怪しげな若者がいっぱい来てました。黒いゴシック系、美術学校系中心のクセのあるヤツラばっかりです。
ワタクシの知っているアングラ演劇は、今回のものよりちょっと後ですが、その頃も赤テントの入り口に鶏とかぶら下がってて怪しげなムード満々でした。観客もクセのある自意識過剰なヤツラが多かったです。自意識過剰にアヴァンギャルドって芽生えるのかも…。
反抗するものがあった時代だからこそアヴァンギャルドだったと思いますが、平和な今のクセのあるヤツラにもアヴァンギャルドで突っ走って欲しいです。
自分は方向性は全く違うのですが、自分にわずかに残るアヴァンでギャルドな部分をつつきたくなりました。