市川きよあき事務所

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映画

くにとは何だろう? 

年末に観た映画は思想や価値観の違いや理不尽な政治に振り回される家族の話。どちらも、くにとは何かを考えさせる作品でした。
「再会の食卓」
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1949年、共産党に敗れた蒋介石率いる国民党は台湾に退却。殆どの軍人が家族を本土に残したまま台湾に渡り、数十万世帯が生き別れの状態になりました。これは中国に身重の妻を残し台湾へ渡った元兵士が、本土帰省を許可され40数年ぶりに帰ってくるお話。妻にはすでに新しい夫と家族がいる。元夫を精一杯もてなし、食卓を一緒に囲む妻と夫…年老いた男女三人の過去と現在が行き交います…。
「かぞくのくに」
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1980年くらいまで在日朝鮮人にとって北朝鮮は理想郷と称えられていて、帰国事業が盛んに行われていました。9万人以上が帰ったとされています。その中に家族と離れ、半島に渡った中学生がいました。彼は現地で結婚し子どもも生まれましたが、以来日本の家族とは再会できなかった。その彼が病気の治療をするため日本滞在を許され25年ぶりに帰ってくることに…。

「シュガーマン」
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くにによって全く違う評価という意味合いでは、同じ時期に観たドキュメンタリー映画「シュガーマン」が凄く面白かったです。1960年代後期にアメリカでデビューするも全く売れず消えた歌手が、なぜか地球の裏側では誰もが知っている大スターになっていた。30年後の90年代になって熱狂的なファンが歌手を調査すると…。

くにに戻っても、埋められなかった時間。
くにを動かなければ、幸せだった人生。
くにに愛されず、よそで愛されていた歌。

くにとは何だろう? 映画から教わる事も多い。